AWARD
学生設計賞

2026.6.10

第23回「集合住宅再生・団地再生・地域再生学生賞」受賞作品紹介・審査員講評④奨励賞

・奨励賞

受賞者
(グループ名)ダンチとフクシのミライをデザインする~8大学連携プロジェクト~
(メンバー)武者拓真、南端祐菜、杉本陽春、佐藤菫、石崎真祐子、上林竜也、安達雄樹、植木慧、山田智也、溝渕優香、森田優佑、浪川翔太、ショウケイセイ
所 属
京都工芸繊維大、京都橘大学、京都市立芸術大学、京都大学、京都女子大学、京都美術工芸大学、京都府立大学、京都精華大学
題 名
ダンチとフクシ 〜団地の空き住戸を活用した地域福祉の実践プロジェクト〜

作品講評:田島則行(千葉工業大学創造工学部建築学科 教授/テレデザイン)

 本プロジェクトは実践部門に応募された作品である。京都市営住宅が抱える高齢化や空き室増加の課題を解決するため、京都の8大学が連携し、学生主体で計画から施工までを実践した取り組みである。
 各大学は、西野山団地の5住戸と醍醐中山団地の3住戸をそれぞれ担当し、既存躯体の分析から出発して、各住戸の特性を活かしたリノベーションを提案している。京都府立大学(西野山110号室)は、床レベルの変更や垂れ壁・押入空間の活用によって新たな住空間を創出した。京都精華大学(西野山206号室)は、可動家具(movable furniture)がもたらす自由度と可変性を探求している。京都女子大学(西野山305号室)は、斜めに挿入された木軸によって既存グリッドから逸脱する空間構成を生み出し、その対比を際立たせている。京都市立芸術大学(西野山308号室)は、生活を受け止める大きな半円形テーブルを中心に据えることで、その存在自体が空間全体をまとめている。京都大学(西野山310号室)は、時間に追われる現代の社会人を対象に、収納のあり方や暮らしの豊かさを探求した。京都橘大学(醍醐中山303号室)は、リビング空間のあるべき姿を問い直し、その再編を主題としている。京都工芸繊維大学(醍醐中山304号室)は、コの字型の構成によって二人の暮らしを包み込み、仕切ることなく伸縮する空間を提案した。そして京都美術工芸大学(醍醐中山505号室)は、入れ子構造を用いることで、個と共有の領域が重なり合う空間を実現している。
 本プロジェクトは、事業者や教員らの支援のもとで高い完成度を実現している。しかし、それ以上に評価すべきは、各大学の学生たちが互いに切磋琢磨しながら団地空間の多様な可能性を探究し、その成果を机上の提案にとどめることなく、実際の改修プロジェクトとして実践した点にある。さらに、学生たちの挑戦を受け入れた事業者や工務店、そして指導・支援にあたった教員をはじめとする関係者の尽力にも、深い敬意を表したい。